誰しも「自分の人生を自分の思い通りに決められたら…」と一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
私もかつてそう思っていました。
会社員を4年間やっていましたが、最後の一年くらいは毎日同じことの繰り返し。
でも、
「辞めたくても生きるためには働くしかない」
「みんなに無色だと思われたくない」
と感じてやめれない状況がずっと続いていました。
今回の話は、そういった気持ちを抱いている人に向けてのお話です。
誰も降りなかった駅で
朝7時52分。今日もカオルは、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に押し込まれた。
顔の近くに誰かのリュック、耳元では咳払い。
息をするスペースすら、誰かに奪われているようだった。
苦しい。
でも。仕事があるだけマシか。
生活のためには仕方ない。
そんな言葉で、自分を納得させるのが習慣になっていた。
会社では、感謝もされない仕事。
自分じゃなくてもいいような日々。
疲れはたまる一方なのに、何も変えられない。
そんなある朝、車内アナウンスが流れた。
「まもなく、小机駅。扉は左側が開きます。」
いつもなら、聞き流すだけの駅名。
でも今日は、なぜか足が動いた。
「降りてみようかな」
理由なんて、特になかった。ただ「降りてみたい」という気持ちだけだった。
ホームに降り立ったとたん、静けさが耳を包んだ。
誰もいないベンチ、自販機で買った缶コーヒー。
空を見上げると、雲がゆっくり流れていた。
「何してるんだろう、オレ」
次の電車が来て、そしてまた、行った。
扉の閉まる音が、自分の新しい始まりの音に聞こえた。
カオルはスマホを取り出し、転職サイトを開いた。
指先が、確かに「選んで」いた。
いつもと違う駅に降りる。
それは「迷い」じゃなく、「決意」だった。
誰かに運ばれるだけの人生から、
自分の足で歩く人生へ。
カオルの人生は静かに、そして確かに動き出した。
解説|“満員電車”が象徴する、見えない不自由
この寓話に登場する「満員電車」は、物理的な混雑だけではなく、
現代人が日常の中で無意識に抱える“見えない不自由”を象徴しています。
- やりたくない仕事
- 乗り気でない人間関係
- 惰性で続けてしまっている生活習慣
それらに疑問を持ちながらも、「みんな我慢してるから」と、自分を納得させていないでしょうか?
選びなおすこと=“逃げ”じゃない
「途中で降りる」という行為は、ときに“逃げ”だと思われがちです。
今どきの言葉で言えば「飛んだ」とかですかね。
でもこの物語のように、それはむしろ「自分の意思を取り戻す行動」だとも言えます。
- 誰かのレールではなく、自分でルートを決める
- 周りに合わせるのではなく、自分に正直になる
その一歩は、小さくても確かな変化をもたらします。
「本当にこのままでいいのか?」と立ち止まる勇気を
誰も降りない駅に、あえて降りる。
それは、大きな決断に見えて、実はとても静かな自己対話の結果です。
他人に理解されなくてもいい。
自分の人生のハンドルを、自分の手に戻すこと。
そのための“ひと駅ぶんの余白”を、あなたも持ってみませんか?
読んでほしい一冊「地平線を追いかけて満員電車を降りてみた」
この本は、私が1度転職をした後、2社目をやめたときに読んでいた本です。今回のお話のような悩みを持っている主人公5人と劇場の支配人との対話形式でお話が進んでいきます。
劇場の支配人が結構辛辣なことをたくさん言ってくるんです。それが最初は耳が痛くて、苦しくて。
でも、読み終わった後には、本当に自分の中にいる“もう一人の自分”と話させてくれるような気持ちになりました。
私はこの本を読んで、その次の週頭には退職の意思を上司に伝えていました(笑)
自分の人生は、1回だけです。楽しいと思えるかもしれない方に進みたいなと思ったんです。
もし興味があれば、ぜひ読んでみてくださいおすすめです!
1話の全文が以下のサイトで読めるみたいなので、まずはそこからでも!