前回の記事では、収入の軸を増やすためにまず「目的地」を決めることの大切さをお伝えしました。
目的地が決まると、不思議と少し気持ちが楽になります。でも同時に、こんな気持ちが湧いてくる人も多いんじゃないでしょうか。
「目標は決めた。でも……自分に本当にできるのかな」
これ、わたし自身も感じました。月収50万円という目的地を言語化したとき、正直なところ「遠すぎて現実感がない」という感覚がありました。
今の自分には何が足りないんだろう。スキルが足りない?経験が足りない?それとも、そもそも自分には向いていないのかな——そんな思考がぐるぐると頭を巡りました。
この記事では、そのモヤモヤの正体について考えてみたいと思います。テーマは「自己効力感」、つまり「自分はできる」と信じる力についてです。
自信がないまま始めても続かない、本当の理由

「自信がない」こと自体は問題じゃない
最初に言っておきたいのですが、自信がないまま副業を始めること自体は、全然問題ありません。
むしろ、最初から自信満々で始められる人の方が少ない。わたしの周りにいる、複数の収入源を持っているフリーランスや副業で成果を出している人たちも、最初は「うまくいくかわからない」という状態でスタートしています。
では、続かない人と続く人の違いはどこにあるのか。
わたしが思うのは、「自己効力感の育て方を知っているかどうか」の差だということです。
途中で止まってしまう人のパターン
副業を始めて、うまくいかない時期が来たとします。最初の案件がとれない。書いた記事にアクセスが集まらない。思ったより単価が低い。
このとき、心の中に「やっぱり自分には向いていないのかも」という声が出てきます。
この声に対して、「いや、まだ続けよう」と踏ん張れる人と、「そうかもしれない」と手を止めてしまう人がいます。
この違いは、意志の強さではありません。「自分はいずれできるようになる」という感覚——つまり自己効力感を持っているかどうかの差です。
自己効力感がないまま続けると、うまくいかないたびに「やっぱり無理だ」という結論に引っ張られます。それが積み重なると、続けることが苦しくなる。これが「自信がないまま始めると続かない」本当の理由です。
自己効力感とは何か

「自信」とは少し違うもの
自己効力感という言葉は、心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した概念です。
「自信」というと、なんとなく「もともと持っている性格」のようなイメージがありますよね。自信家な人、引っ込み思案な人、という風に。
でも自己効力感は少し違います。「この状況で、この課題に対して、自分はできるだろう」という具体的な見通しのことです。
つまり、生まれつきの性格ではなく、経験や環境によって後から育てられるもの。これがポイントです。
「向いていない」と判断するのが早すぎる問題
副業を始めて3ヶ月で「自分には向いていない」と判断する人がいます。でも、その判断は本当に正しいでしょうか。
自己効力感の観点から言うと、3ヶ月では「育てる機会」がまだほとんどなかった状態です。成功体験も、ロールモデルも、励ましの言葉も、十分に積み上がっていない。
それは「向いていない」のではなく、「自己効力感がまだ育っていない」段階なんだとわたしは思っています。
信じる力を育てる4つの方法

バンデューラの理論では、自己効力感には4つの源泉があるとされています。『神メンタル』でも触れられているこの考え方を、副業・複業の文脈で整理してみます。
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① 自分でやって、小さく成功する(遂行体験)
4つの中でもっとも強力なのが、自分自身の成功体験です。
ポイントは「小さく」でいいということ。最初から大きな成果を狙う必要はありません。「1件だけ受注できた」「記事を最後まで書き切れた」「初めてクライアントから感謝された」——そういう小さな達成が積み重なるほど、「自分にもできる」という感覚が育っていきます。
逆に言えば、最初から難易度の高いことに挑戦して失敗を重ねると、自己効力感は下がります。最初の設定をあえて低くすることは、甘えではなく戦略です。
② 自分と似た人の成功を見る(代理体験)
「あの人はすごい人だから」と思えるロールモデルは、実はあまり参考になりません。大切なのは「自分と似た立場の人が成功している」という事実を見ることです。
同じような状況から始めた人が、少しずつ収入の軸を増やしている様子を見ると、「自分にもできるかもしれない」という感覚が生まれます。
ブログやSNSで等身大の発信をしている人を見つけて追いかけることが、じわじわと効いてきます。
③ 信頼できる人から「できる」と言われる(言語的説得)
誰かに「あなたならできる」と言われた経験はありますか?
それが信頼している人からの言葉であればあるほど、自己効力感への影響は大きくなります。反対に、「お前には無理だ」という言葉は自己効力感を大きく下げます。
だから、自分の挑戦を応援してくれる人が周りにいる環境をつくることは、メンタルの問題だけじゃなく、継続するための実用的な戦略でもあります。
④ 体と気持ちのコンディションを整える(生理的覚醒)
睡眠が足りていないとき、体が疲れているとき、気持ちが落ち込んでいるとき——そういうときに「自分にはできない」という感覚が強くなった経験はないでしょうか。
これは気のせいではなく、体の状態が自己効力感に直結しているということです。
副業を続けるためにコンディションを整えることは、根性論ではなく、自己効力感を維持するための土台です。睡眠、食事、適度な運動。地味ですが、これが長期的な継続力に関わっています。
わたし自身の話——自信がなかったころと、変わったきっかけ

SEを辞めてフリーランスになるとき
会社員としてSEをやっていたとき、「フリーランスになりたい」という気持ちはありました。でも同時に、「自分みたいな普通のエンジニアが独立して食べていけるのか」という不安も常にありました。
独立したとき、収入は半分以下になりました。しばらくは本当に不安で、「やっぱり向いていなかったかな」と思う夜もありました。
でも振り返ってみると、あのときわたしに足りなかったのはスキルではなく、「自分はいずれできるようになる」という感覚だったと思います。
最初の一歩は「できそう」ではなく「やってみた」だった
転機になったのは、小さな案件をひとつ完遂できたことでした。大きな仕事ではありません。でも「最後までやり切れた」という事実が、次への一歩を踏み出す根拠になりました。
自信が先にあって動いたわけじゃない。動いた結果として、少しずつ自信がついてきた。
今のわたしはそう確信しています。
収入の軸を増やすうえで、自己効力感がなぜ重要か

自信は「先に持つもの」ではなく「後からついてくるもの」
収入の軸を増やそうとするとき、多くの人は「準備ができてから始めよう」と考えます。でも、準備が完全に整う日は来ません。
自己効力感の観点から言えば、準備よりも先に「小さく動いて、小さく成功する」経験を積む方が、むしろ次の準備になります。
自信は先に持つものではなく、動いた後についてくるもの。このシリーズで何度も触れることになる考え方ですが、第2弾のテーマとして改めて言葉にしておきたいと思いました。
まとめ

- 自信がないまま始めること自体は問題ない。続かない本当の理由は「自己効力感の育て方を知らないこと」
- 自己効力感は生まれつきの性格ではなく、経験と環境で育てられる
- 4つの源泉:①小さな成功体験 ②自分と似た人の成功を見る ③信頼できる人からの言葉 ④コンディションを整える
- 自信は動く前につくるのではなく、動いた後についてくる
次回・第3弾では「この人にお願いしたい」と思われる人間になるための、人間力の話をします。

